タイトルを「nowhere」としたのは、安部公房の寓話的世界を持ち込みたかったからです。
ここではないどこか=nowhere
私にとっては生まれてから18歳まで過ごした故郷と言える町なので、既に知っている風景。しかし、これらの写真を観る人にとってはおそらくはじめての場所。けれどどこかで見たように思えるであろう場所として武里団地を選びました。
昭和41年の建設当時は東洋一のマンモス団地として話題になったそうですが、今は地盤沈下や老朽化が進み、まるで巨大な廃墟のようにも見えます。風化侵食を繰り返し、少しづつ形を変えていく、この大きな造形物は、群生する植物のようにも思われるのです。